中国全体主義の克服と日本の自由民主主義の保守
2006-10-08


とりあえず安倍氏としては、中国訪問を「成功」させて、内外の不安を払拭することができるかもしれません。しかし、これは既定の道筋でしょう。かつて鳩山内閣が日ソ国交回復をやったように、ポリシーとして右派的=タカ派的であるほど、パフォーマンスとしてハト派的な政策をとりやすいということも言えます。

しかし、それは本質的な次元での動きとはいえません。安倍政権が戦後レジーム=リベラル・デモクラシーを克服し、現代的全体主義をめざしている本質をもっているからこそ、パフォーマンスの次元では、ある幅をもって振る舞う必要があるということでしょう。

翻って安倍氏が訪問した中国も、大きな問題を抱えています。一つには、日本など問題にならないくらいの「格差社会」を生んだ野蛮な資本主義の現実をがあります。

また、それは、陳良宇解任に見られる、腐敗一掃と絡み合った権力・路線闘争を随伴します。そして、それは中国の一党独裁・全体主義レジームの解体を要請していくことにならざるをえません。

日本において安倍政権が担う反動=全体主義指向の息の根をとめる努力は、中国の現存する全体主義の息の根を止める努力と手を携えなければならないでしょう。

つまり、日中の庶民にとって、次のことは共通の目標になるのではないかと思います。

1.野蛮な資本主義を是正して、社会的・公共的な市場経済を確立することによる格差是正。
2.人権・個人の尊厳を破壊する国家主義・全体主義と闘い、自由民主主義を保守・発展させる、あるいは自由民主主義を獲得する。
3.「反日」「嫌中」などの排外主義を克服して、東アジアの共有する文化と伝統に基づく対話と交流をすすめる。
[時評]

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